主観的なヴィンテージ考

 先日(2月2日、3日)、モレサンドニのドメーヌ・デ・ランブレイの社長兼醸造家のブルーアン氏とテイスティングイベントでお話しをする機会がありました。素晴らしいワイン揃いでしたが、印象的だったのは2013年のモレサンドニとクロ・デ・ランブレイ。2013年はここ30年間でも最も気候条件に恵まれなかった年で、結実不良やウドンコ病の発生やらで、作り手としては大変苦労があったとのことでした。これら2種もいつものランブレイの味である、濃密さやパワー、華やかさがあまり感じられませんでした。しかし、それはそれとして、ミントのようなハーブの香りが優しいピノノワールのベリー系の味とよくマッチして、これまでに経験したことがないとてもチャーミングなおいしさでした。
 ランブレイのワインは決して安くはありませんので、2013年以外の出来の良いヴィンテージをお買いになる方々もいて当然です。しかし、作り手は気候を選ぶことも調節することもできない立場で、最高のワインを作る努力をしていることからすれば、極論ではありますが消費者も毎年のワインの出来栄えを受け入れることこそが、ワイン飲みのあるべき姿勢だと思うのです。現実には、パーカーポイントや他の評価指数や、プリムールでのボルドーの評価が価格に反映されるのですが、飲み手はもっと生産者の努力に敬意をはらうと良いと思うのです。恵まれないヴィンテージのワインを飲んでこそ、秀逸なヴィンテージのワインの良さや素晴らしさをより実感できるはずです。
未成年者(20歳未満)の飲酒は法律で禁じられています。