マイナー品種 フランス南西部を訪ねて (ワイン、井上)

マイナー品種 フランス南西部を訪ねて (ワイン、井上)
 7月下旬にフランスのフランス南西部(シュド・ウェスト)のトゥルーズに行く機会がありました。南西部はボルドーとルシーヨンの間に位置し、アルマニャックやピレネーにも囲まれ、個性的なワインがつくられます。この地理的一では、カベルネ、メルロー、セミヨン、ソーヴィニョンブランもつくられるのですが、特筆すべきは地ブドウの多さ。黒ブドウのタナ、デュラス、フェール・セルヴァドゥー(別名マンソワ)、ネグレット、白ではグロマンサン、プチマンサン、ランドレル等々。これらは殆どこのエリアで栽培されるため、ワインの勉強においてもマイナー品種の扱いです。主役となればそれぞれの個性を発揮し、メジャー品種に添加されれば面白いアクセントを加えます。
 日本ではこれらの品種の味をみる機会があまりないこともあり、慣れ親しんだカベルネやシラーに比べ粗野で野暮ったい印象を持つ方もいらっしゃるのも事実。土壌の特徴や気候を反映して、タンニンが豊富、鉄くさい、青味がするなどネガティヴな印象は私も正直もっていました。しかし、パリ、リヨン、ボルドーから見れば、これらはマイナー品種であっても、地元ではだれもが知っているメジャー品種。この地方の典型的料理であるカスレ(白インゲンとジビエの煮込み)などには脂分をサラッと流してくれるタンニックでスパイシーなワインが合うこと合うこと。美味しいのです。地元ワインは気後れせず胸を張ってます。
 所謂メジャー品種は世界的に生産(使用)量も大きく、栽培に適し、品質的にも優れています。その点、マイナー品種は劣るかもしれませんが、ブドウからワイン、ワインからグラス、グラスから人と伝わる上では何の変わりもありません。皆さんも、各地を訪れる際、冒険して地元ワインを経験してみてください。
 さて、マイナー品種の話はシュド・ウェストだけではありません。ワインの勉強をする人泣かせのブドウ品種の多いイタリア、聞いたいたこともない品種があるポルトガル。更には東欧の品種。これらは全てフランス南西部と同じ状況です。先入観なしに、興味があれば未知のワインとしてぜひチャレンジしてみてください。地元の料理は必ずや答えてくれます。だって、地元の皆さんの日常生活ですもの。
 イノワインではこれらをマイナー品種とは言わず、普通に色々な品種のワインとしてご紹介しています。イノワインのワインをお求めいただき、ぜひ世界各地を味覚として旅してみてください。
未成年者(20歳未満)の飲酒は法律で禁じられています。