ワイン、自然、消費者 (ワイン、井上)

最近の日本の気候には予想がつかない事象が多く発生していますが、先日店主がカリフォルニアワイン輸入元と会ったときの話題は例の重大な「山火事」でした。銘醸地ソノマ、ナパの今後の復興の困難さにワイン人として胸が痛みます。また、この夏の渡欧の際、店主はイタリアのトスカーナやラツィオ上空で山火事による白煙を飛行機から見たものでした。2017年の南欧は旱魃に見舞われました。ポルトガルも山火事。枝についたまましおれたブドウも発生。ヨーロッパ全体で生産量は低くなったのです。

これらに限らず、雨、低温、地震など地球上のブドウ栽培地への被害は避けられません。ワイン生産者は、自身ではどうにもコントロ-ルできない自然条件を全て受け入れているのです。当然、最大の努力をしても生産者の意図したワインが完全に体現できないこともありましょう。

そこで飲み手の方です。同じワインでもリッチな味わいの年もあれば、痩せた味の年もありましょう。飲み手は良いヴィンテージのワインだけを選んで買うことはできます。しかし、店主は以前からも言っていますが、生産者と共に自然条件を素直に受け入れ、たとえ少し味に不満があっても飲む心意気を持つことが大切だと思うのです。ワインという存在は、生産者、流通者、消費者の三角形に支えられます。どこが欠けてもいけないのです。自分の目の前のグラスのワインは、生産者に繋がっていることを思って飲みたいものです。

店主 井上直巳
未成年者(20歳未満)の飲酒は法律で禁じられています。